書評
—鈴木 二郎 著—脳卒中の外科
西本 詮
1
1岡山大学・脳外科
pp.34
発行日 1975年1月1日
Published Date 1975/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203643
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脳神経外科領域のうちでこの10年間最も長足の進歩をとげた分野は,脳血管障害の外科である。10年前には,クモ膜下出血でさえも,絶対安静ということで,外科医の手に渡されることはほとんどなかつたといつてよい。ところが現在ではクモ膜下出血をみれば,すぐ脳血管撮影がなされ,動脈瘤が発見され次第,外科へ運ばれるか,あるいはクモ膜下出血の時点でもう外科へ委ねられるということが常識となつている。当時から考えればまるで夢のような時代となつたわけである。
脳卒中といえば,種々の脳血管病変を含んでいるが,脳内出血のみならず,脳塞栓,脳血栓でさえ,現在では外科的侵襲が加えられるようになり,脳卒中はもはやあたかも外科の病気であるかの観を抱かせるほど,この方面における最近の脳神経外科の進歩はめざましいものがある。
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