The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 15, Issue 2
(February 1981)
Japanese
English
特集 重度障害者のリハビリテーション
障害者のトータルライフプランニングについて
Total Life Planning for Handicapped Persons
黒田 大治郎
1
Daijiro KURODA
1
1兵庫県身体障害者更生相談所
1Hyogo Prefectural Rehabilitation Consultation Center for Handicapped Person.
pp.281-290
発行日 1981年2月15日
Published Date 1981/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102348
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はじめに
人は時間の流れの中で生きて,死んでいく.このライフサイクル(life cycle:生活周期)のなかに,さまざまな人の生の営みが繰り広げられていくが,現代社会の複雑で多様な変動は,この生の営みを危うくする多くの危機的状況をもって迫ってきている.そして,もしこれまでのような慣習的な繰り返しで過ごしてきた生きかたでこの事態に対処したならば,たちまち生活を取り巻く状況とその変化に翻弄され,生活破壊を招く恐れが充分にある時代に生きているといえる.
この状況に対応して生活を守り安定させ,さらに充実させていくためには,生活全体を見つめ,考え再検討しながら,立て直していかなければならない1).そのためには,日常のまた短期の繰り返される生活の諸事象を対象にするのみでなく,将来に向ってのもっと長期に亘る生活の諸事象にも目を向ける必要がある.このように,生涯に亘る長期的,全体的,体系的な生活の見通しや計画を考える場合,これをトータルライフプランニング(total life planning:生涯生活設計計画,以下生活設計)と呼ぶことができる2).
この小稿では,重度障害者の生活設計のあり方について考察するが,“生活”という完結したしかも複雑で多様なシステム全体について言及することは不可能に近いので,ここでは重度障害者の生活設計の序説として,その必要性,取り組むための視点とその考え方について述べてみたい.
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