特集 トータルヘルスプロモーションの実践
トータルヘルス・プロモーションプランと労働衛生
草刈 隆
1,2
Takashi KUSAKARI
1,2
1日本赤十字社
2前労働省安全衛生部
pp.368-372
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900354
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◆はじめに
労働衛生行政(Labour Hygiene Administration)あるいは産業保健活動(Industrial Health Activity)の対象は,雇用されて働く人々である.たとえ経営者や主婦等は適用の範囲としては除かれるにしても,働く人々の健康を守るという理念,当世流行の言葉ならコンセプトは共通している.しかし「雇用されて働く人々」=労働者は雇用という環境にあるからこそことさらな配慮が必要で,わが国ではそれを労働省が所管している.
対象人口の年齢は15歳より64歳に至るまでの人生80年のうち,個々の人にとって生物としての機能,社会活動,経済活動等の最も活発な50年である.また,退職後の約10年から20年に及ぶ“もう一つの人生”が,健やかなものになり得るか,生きがい,張り合いのある日々を過ごせるか否かに,大きな影響を及ぼすのが15歳から64歳までの50年であることに疑う余地は無い.
言い換えるなら,退職時期の心身の機能を含めた職業能力,社会生活能力がいかように保持されているかが,それ以後の人生の有りようの鍵である.
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