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講座
作業療法概論 5.作業療法における研究領域―精神科
A Survey of Occupational Therapy Research in Psychiatry
冨岡 詔子
1
Noriko TOMIOKA
1
1山梨日下部病院
1Yomanashi-Kusakabe Hospital.
pp.794-797
発行日 1980年11月15日
Published Date 1980/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102270
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はじめに
「研究人間」の著者であるノルティンク,B.E.1)の文章を引用することで,科学とか,研究の意味を,ふり返ってみよう.
「……まわりのものを分析し理解しその印象を表現しようとするのは,知的精神の本質的な反応です.何世紀にもわたって,人間は,芸術と哲学を通じてこのことをやってきました.しかし最近になって……,この新しい方法,すなわち“科学”を発見しましたが,科学が我々を夢中にさせる斬新さは,それが累積性のものだ,という点にあります.つまりわれわれは,先人や仲間がすでにやったことの上に建設することができるのです.……研究が成功することによって生じる楽しい気分は,芸術家や作曲家の場合と同じです……」(傍点筆者)
科学や研究の本質をサラリと述べたこの文章は,とかく難しく考えがちな科学や研究のもつ人間くさい一面を指摘しているようにも思われる.作業療法(士)における研究領域も,作業療法の実践活動を通して,理解した現象や感じた印象をどのように表現してきたか,先人たちのやったことの上にどのように積み重ねてきたか,の知的精神活動の歴史ともいえよう.精神科作業療法に関連した,膨大な知的精神活動の歴史を辿るには筆者な余りにも力不足であることから,時間と場所を限定し,歴史の断面を見ることで研究領域の概略的地図を描いてみたい.
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