今日の精神科作業療法
対談/生活臨床と作業療法
江熊 要一
1
,
富岡 詔子
2
Yoichi EGUMA
1
,
Noriko TOMIOKA
2
1群馬大学医学部神経精神科
2日下部病院,生活療法部
pp.913-921
発行日 1973年12月15日
Published Date 1973/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100751
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再発予防から出発
富岡 生活臨床という考え方をOTのほうではあまりまだ知らないゆえに,それをどういうふうに自分たちに結びつけて考えたらいいかというところがわからないだろうと思うんです.もしなにか吸収できるものがあれば,どんどんOTのほうに吸収していきたいという気持があって,ぜひということでこの企画を組んでもらったんです.「生活臨床と作業療法」というテーマですが,まず「生活臨床」という考え方からお話し頂けたらと思います.
江熊 生活臨床というのは,分裂病の再発予防をするにはどうしたらいいかということから出発した一種の働きかけ――診断並びに治療です.ですから,対象となる患者さんというのは,再発予防ということですから,社会生活をしている患者さんが生活臨床の対象になるわけです.したがって,入院している患者さんが対象じゃないわけなんです.再発予防のために,社会生活をしている患者さんと十数年間ずうっと接触を続けてきたわけなんですけれども,その中でいろいろな経験を,悪い状態,あるいは入院している患者さんに対しても適用できるのじゃないかなという段階に,やっときたところなんです.
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