動き
「日本精神病理学会第15回大会」印象記
井原 裕
1
1自治医科大学精神科
pp.100-101
発行日 1993年1月15日
Published Date 1993/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903388
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今日,精神医学は分岐点にさしかかっている。技術の進歩とあいまって生物学的研究はめざましい進歩を遂げ,各分野で画期的な成果を挙げつつある。しかし,そこでもたらされた知見は,十分な検討を受けぬまま放置されており,精神疾患の理解にとって何を意味するのか,いまだに明らかでない。このような状況を背景に,理論精神医学あるいは基礎精神医学としての精神病理学は,現在ますます重要性を増しつつあるようにみえる。
日本精神病理学会第15回大会(小出浩之会長,岐阜大)は,1992年10月1日,2日の両日,岐阜市にて開催された。初日には,「精神病理学の意義と展望」と題されるシンポジウムが,永田俊彦氏(順天堂大),新宮一成氏(京大)の司会のもと行われたが,このテーマは,精神病理の未来を占う意味でも極めて的確な選択であったといよう。
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