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第5土曜特集 血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
血管研究のフロンティア
組織微小環境を制御するアンジオクラインシステム
Regulation of the tissue microenvironment by angiocrine system
木戸屋 浩康
1
Hiroyasu KIDOYA
1
1福井大学学術研究院医学系部門血管統御学分野
キーワード:
アンジオクライン
,
恒常性維持
,
再生
,
がん
,
幹細胞
Keyword:
アンジオクライン
,
恒常性維持
,
再生
,
がん
,
幹細胞
pp.1084-1088
発行日 2024年6月29日
Published Date 2024/6/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289131084
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各組織の血管から産生される特異的なアンジオクラインファクターは,組織微小環境の細胞群に対してさまざまな活性を示す.さらに,それに応答した細胞群からのフィードバックは組織に応じた適切な血管ネットワークの形成へとつながる.このような相互作用は発生期における組織の形態形成や,障害やストレスに対する恒常性維持に働くことが示されつつある.つまり,血管は物質輸送という役割に加え,アンジオクラインファクターを産生することによって組織の司令塔としても機能している.アンジオクラインファクターを介した組織微小環境内での相互作用の理解は,再生医療において生体組織を再現した高機能組織オルガノイドの作製につながると期待される.また,がんなどの疾患の発症や進展過程においてもさまざまな働きを示すことが明らかになりつつあり,創薬標的としても注目を集めはじめている.本稿では,組織の正常と異常を制御するアンジオクラインシステムについて研究の現状を紹介する.
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