プラクティカル・メモ
片麻痺患者に対する車椅子の研究―片足駆動チェーンドライブ方式の試み
櫛田 晃正
1
1国立療養所南岡山病院理学療法士
pp.507-508
発行日 1980年7月15日
Published Date 1980/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102197
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
片麻痺患者の車椅子の使用場面をみると,訓練の過程で一時期院内の移動に用いられる場合と,歩行の確立を目標に掲げることが困難な場合とが考えられる.使用される車椅子のタイプは低座席にしたユニバーサルタイプが一般的である.特殊なものとしては片手操作式のものもあるが,これは健常人でもかなりの熟練を要し,どちらかといえば実用的でないようにいわれている.一応現在のところスタンダードタイプが最も多く使用されてはいるものの,一面幾つかの問題点を有している.まず第一に健側下肢を床に置き手操り寄せて前進するために,必然的に健側半身が前方に移動していわゆる半身姿勢になったり,また極度な場合はシート前縁に殿部が移り半座位にも近い不良な姿勢をしめす患者をみる.第二に力学上の問題点として,健側下肢は床に充分接することができる座席の高さでなければならないわけであるが,反面ベッドやその他の家具へのトランスファーの際,立ち上り動作に多少の負担が強いられる.特に車椅子の初歩的段階にある患者にとっては容易ではなさそうである.第三に屋外車として用いる場合その実用性が薄い等があげられる.以上のような問題的に対しその改善を目的として,図1のような片麻痺用車椅子(称して片足駆動チェーンドライブ方式)を試作し従来のものと比較検討をおこなってみた.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.