車椅子駆動技術向上による生活範囲の拡大—車椅子インストラクションの実践

Expanding life space by facilitating manual wheelchair skills: process in an instruction of wheel chair

はじめに

　下肢障害があり車椅子の使用が適している場合，自立して自動車を運転するには，その前に車椅子動作と自動車への移乗動作を獲得しなければならない．

　車椅子ユーザーが社会復帰するためのリハビリテーション施設のうちの一つに，スウェーデンにあるリハブステーションストックホルム（Rehab Station Stockholm）がある．クライアントに対してチームアプローチで対応し，その中に車椅子インストラクターという職種がある．車椅子インストラクターは実際の車椅子ユーザーであり，あらゆるテクニックを身に着け指導を行う．また一人のロールモデルとしての役割も担う．2005年，筆者はリハブステーションストックホルムにて車椅子インストラクターのオーケ・ノルステン氏の下で，車椅子インストラクターの講習を受講した．この講習の修了をきっかけに車椅子インストラクターとして活動しているのでその報告を行う．