反省させられた症例
ヒステリー症のためラポールがとりにくかった症例
白岡 照美
1
1東京大学医学部付属病院
pp.117-119
発行日 1980年2月15日
Published Date 1980/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102093
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はじめに
患者とラポールがとれれば治療の90%は成功したと言われる.確かに臨床場面で我々が頭を悩ますのは,難病や重度障害もさることながら,何らかの心理的問題のあるケースで計画通りプログラムを進めたくとも遂行できない場合である.周知の事であるが,軽症であるから金てリハビリテーション(以下,リハと略す)が成功するとは限らない.我々が障害は軽度ととらえ何の問題もない筈だと判断しても,障害を持った当事者である患者にしてみれば,簡単に受け入れることの出来ない大問題なのである.このように治療者側と患者側の認識の差が大きすぎると,治療を進める上で大きな支障となる.これは障害の受容がなされていないということもあり,これが原因となって患者とのラポールが困難になる場合も多い.ここで紹介するのは,原疾患そのものは薬剤により一時的におさえられたが,そのために生じた副作用により重篤な状態に陥り,その結果,運動障害より主に心理的問題(ヒステリー症状)のため,ラポールをとるのに苦慮し,治療も円滑に進まなかった例である.以下経過を追いつつ,反省を行ってみたい.
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