病理夜話
ヒステリー
金子 仁
1
1国立東京第一病院病理
pp.576
発行日 1970年5月10日
Published Date 1970/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203084
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女がときどきヒックリかえるとたちまちヒステリーと診断されてしまう.また診断そのものに関しても,現在のように各科が専門化してしまうと他科との連絡が手薄になり,医師はカタワになっていく傾向がある.この話も,このことに無関係とはいえない実話である.
ある日曜日の朝である.ある個人の精神病院より電話がかかった.患者が急に死亡したので剖検してくれないかという.ヒステリーで入院している若い女性で,ある地方の病院で治療していたが,最近そこの病院へ入院したという.父は医者であり,患者の兄も医師で私を知っているので,なんとか剖検していただきたいという依頼である.
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