The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 13, Issue 10
(October 1979)
Japanese
English
特集 理学療法士・作業療法士に関連のある社会資源
社会資源の開発と隘路
Development of Social Resources and its Difficulties
椎谷 淳二
1
Junji SHIIYA
1
1社会福祉法人東村山市社会福祉協議会 老人保健福祉事業事務局
1Higashimurayama Social Welfare Council.
pp.671-675
発行日 1979年10月15日
Published Date 1979/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102002
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はじめに
地域医療,地域保健,地域福祉などの言葉は,近年あたかも流行語のごとく関係各分野に広まってきている.時にはそれらの言葉の上に,総合的とか包括的とかいう言葉がくっつくことも少なくない.プライマリーヘルスケアという新しい用語も含めて,これらの最近の言葉は,それを使う人によってまた聞く人によって様々な理解のされ方をしているようである.日本の場合,概念が先行しているため,とかく理想論に偏するきらいがあり,実践は種々な立場の人々が種々な考え方や方法で試みている段階であって,いまだ実際的な実践論としては未確立な部分が多い.具体的なイメージがバラバラかつ貧困であることが,かえって概念の理解を混乱させているようでもある.
ともかく,これらの新しい概念が実践活動として普遍化するためには,日本における地域社会の現状の中でこれらの活動が果たして可能なのかどうか,可能だとすれば誰がどのような方法やシステムでこれを進めたらよいかなど,いくつかの基本的な検討からはじめる必要があろう.
東京都下東村山市では,高齢化社会を目前にして,包括的な老人地域ケアの体系化と住みよい街づくりを目差して,昭和49年から東村山市老人保健福祉事業を実施している.ここでは,5年間本事業に携わってきた筆者自身の体験の中から,東村山なりの地域保健福祉のやり方と,活動の妨げ,特に社会資源の連携における問題点のいくつかについて,具体的に紹介してみたい.一般化しえない部分もあろうが,地域で実践活動を進める際に多少なりとも参考になれば幸いである.
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