特集 女性看護師の皆さんへ—ケアする男の物語
男性看護職をめぐる課題と戦略—その隘路と可能性について
矢原 隆行
1
1福山市立女子短期大学
pp.1006-1011
発行日 2002年11月1日
Published Date 2002/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904069
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周知の通り,今年3月1日より施行された「保健師助産師看護師法」により,男女看護職者の名称が「看護師」に統一された.これにより従来の看護婦/看護士という性別による名称の相違は公式にはなくなることになる.しかし,当然のことながら,それをもって女性看護職者/男性看護職者をめぐるさまざまな差異や,その結果であり原因であるような諸課題がにわかに解消されるわけではない.むしろ,名称上の性差の統一は,典型的なピンクカラー・ジョブである看護職における,少数派としての男性看護職がはらむ課題と可能性について見えにくくしてしまうおそれもあるだろう.何より,男性看護職者を取りまく諸課題について改めて考察することは,「看護とジェンダー」という女性看護職者にとってもけっして等閑視できないテーマを模索するために,有効な観察点を得る良い機会でもある.
本稿では,国内における男性看護職者の大まかな趨勢を紹介するとともに,筆者が数年来行なってきた看護職者へのインタビュー調査(主に,平成13年度厚生労働科学研究費補助金を受けて昨年度に実施)にもとづきながら,男性看護職者をめぐる課題と可能性について,いくつかの切り口を提示したい.
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