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Ⅰ.はじめに(下肢切断者と理学療法士)
下肢切断者に対するPTの役割は,非常に重要な位置を占めている.術前からのアプローチより全体のリハビリテーションプログラムにわたってその軸を構成している.特に,切断者に対して,あらゆる社会環境におけるそのactivityを決定づける基礎的な力を増大する目標がある.
PTプログラムからみた目的は,1.切断者の持つ身体的能力を最大限に生かしうるための強化,2.義足をコントロールするための理想的な断端の形成,3.ケースに応じた系統的な歩行訓練,4.社会環境に適応するためのADLの指導,5.断端痛・幻肢痛などの軽減のための物理療法であるが,リハビリテーション全体の過程で,切断者の心理的変化を把握することが,重要である.これは,既知のごとく患者を全人間的にアプローチすることである.切断者の場合,機械的な義肢の受け入れの適否が重要となる.その諸条件として,ソケットの適合,アライメントの設定などテクニカルな面が必要であるが,心理的アプローチをリハビリテーションチームにて行うことが重要である.たとえば,若い切断者は単なる物体として義足を見,それにより障害者として自己を再認識して失望に陥ることもある.これらのことでPTは,一面的に問題を処理してはならない.常に客観的な立場をとることが望ましく,現状においては,切断者に義足の特徴を理解させろことも重要である.
また,義足が切断者に対してどのような位置を占めているかが重要である.これは義足が歩行するための単なる道具にすぎないのか,外観のためであるのか,あるいは人体の一部として役目を果たしているかなど,切断者からみた義足の価値感を最終的には見い出すことが大切である.
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