Japanese
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特集 切断
空気圧制動膝継手遊脚相コントロール義足の評価
Evaluation of HRC pneumatic swing-phase control knee.
中村 幸夫
1
,
西岡 正明
1
Sachio NAKAMURA
1
,
Masaaki NISHIOKA
1
1兵庫県リハビリテーションセンター
pp.253-256
発行日 1974年4月15日
Published Date 1974/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100814
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はじめに
リハビリテーション工学において,新しい義肢の研究開発は重要な位置を占める1).切断により肢体の一部を失った人々のために,高度の機能を備えた義肢が実用化されると,どれほど有益なものであるか測り知れない.
わが国において実際に使用されている大腿義足は,大別して固定式と遊動式の二種に分けられる.固定式義足は,安定性及び歩行速度において優れているが,その反面足先が重く感じられ,著しい異常歩行の歩容を示す.一方,遊動式義足は,足先が軽く,緩行歩行時には正常歩行の歩容を示すが,歩行速度において劣り,踵接地期に不安定性を伴うために歩行訓練を必要とする.
これら両者の欠点を緩和すべく,欧米においては大腿義足の膝軸のまわりに機械的摩擦力,流体の流動抵抗力等の制動力を作用させて義足歩行を制御することが普及している.膝軸が単軸で,制動力をもたない場合には,遊脚相初期の踏切期後に,踵が後上方に跳ね上がって(excessive heel rise)膝最大屈曲角が大きくなり,また減速も行なわれないため踵接地期前に膝が伸展して衝突音を生ずる(terminal impact).したがって歩容も悪く,単位時間あたりの歩数(cadence)も少ないため歩行速度が遅くなる2).
現在,兵庫県リハビリテーションセンターにおいて,遊脚期間を短かくし,疲労を軽減させる目的で,空気圧制動の膝継手を開発中であり3,4),フィールドテストを実施しつつあるのでその概要をここに紹介する.なお,空気圧技術に関しては,「日本エヤーブレーキ株式会社」の協力を得た.
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