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リハビリテーション学院とアメリカの大学院とで受けた教育の比較論にはいる前に,なぜアメリカでは理学療法に大学院教育が行なわれているかについて述べるのが正当だと思う.
‘健康’という概念の現実的な内容は,その社会の文化,科学の発達程度によって異なっている.“それは,健康という現象が社会にどのように受け入れられてきたかを示すものであると同時に,社会が人間に対して期待する程度を示すものでもあった”1).
健康というものについての専門的知識の変化や進歩,そして社会の期待が,新しい専門の仕事や技術を作り出す.理学療法の教育においても,教師は単に自分が教わったことを教えるのではなく,新しい知識と技術を教え,より効果的に教えるための進んだ方法や変わったしかたで教えねばならない.そして理学療法士を補助する技術者教育の計画もやらねばならない.
また一方,理学療法の管理運営者の問題がある.もちろん彼は理学療法士であるが,管理運営について専門的技術をもたねばならない.管理運営の内容にR.P.T.の教育,そのスタッフによる研究活動,理学療法士とその補助技術者との間の関係の問題,その他管理運営方針の立案である.
最後に理学療法士で研究能力をもったスペシャリストの存在が大いに要求されている.実際に患者により効果的な治療を与えるには,より専門的な知識や研究技法を身につけた理学療法士による学門的な知識や理論が研究されねばならない.
このように,ボストン大学の大学院の理学療法課程には,3つの専攻課程がある.つまり,教育(teaching),管理運営(clinical administration)研究(clinical practice and research)がそれぞれである2).
したがって,私の体験したことがらを中心としての比較論は,結局リハビリテーション学院でPTになるための教育課程とアメリカでのPTの教師になるための教育課程の比較になる.
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