Japanese
English
特集 筋トーヌス異常と不随意運動
アテトーゼの理学療法
Physical Therapy of Athetosis
渡辺 洋
1
Hiroshi WATANABE
1
1整肢拓桃園訓練部
1Section of Training, Takutoen, Miyagi Prefecture.
pp.421-424
発行日 1977年6月15日
Published Date 1977/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101490
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Ⅰ.はじめに
中枢神経疾患の症状の一つに不随意運動(involuntary movement)がある.アテトーゼ(athetosis,無定位運動症)は,ある特定の不随意運動を呈する脳性麻痺の一病型である.アテトーゼの示すアテトーゼ様運動(athetoid movement)は,他の不随意運動に比し適切に表現し難い特徴があり観察者を困惑させる.
痙性(spasticity),固縮(rigidity)または連合運動(associated movement)は臨床的に比較的解明されているが,舞踏病(chorea),バリスムス(ballism),異緊張症(dystonia)の関連では未だ統一された見解になっていず,このことが各論文の間で多少の差異が生じる原因となっている.例えば,アテトーゼと異緊張症,アテトーゼと舞踏病又は舞踏病様アテトーゼ(choreo-athetosis)等の関連性が明確でない.これらの用語の示す内容は観察者が自己流の意味づけがなされている段階であり,殆んどは一致しているが多少の内容の違いが生じている.このことは治療理論の確立にとって重要な礎石が不安定であることを示す.即ち,治療効果の検討及び治療の適用を決定づける診断の際に必要な情報が他に伝わらなくなる可能性がある.
この論文では,アテトーゼの臨床的概念の論文による検討を行い,アテトーゼの特有の症状と脳性麻痺共通の現象に対する治療の基礎概念の検討を述べてみたい.
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