連載 症候学メモ・59
アテトーゼかジストニーか
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.276
発行日 1990年3月1日
Published Date 1990/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900032
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◆アテトーゼとジストニーとはしばしば間違えられる。前者を後者としていることが多い。これには二つの理由があるように思われる。一つは,アテトーゼという言葉の持つ意味が,書物に解説されてはいるものの,もう一つピンとこなくて,何となく親しみにくい点があるのに対し,ジストニーとは筋緊張の異常ということが表面に出ていて,何となく解り易い,という点が無視できないようである。
◆第二の理由は,アテトーゼとジストニーの症状現象そのものを,実地に十分見聞して,説明を受けていないことに基づく可能性が考えられる。不随意運動一般にいえることであるが,実物を十二分にみないで,書物の文字面から理解しているときには,往々にして誤解していることがある。不随意運動でなくても,学生や初心者は腱反射が少し活発なものまで病的に亢進していると,とらえがちなように,運動現象には数多い経験の裏付けの必要なことが少なくない。
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