Japanese
English
研究と報告
リンパ浮腫の理学療法
Physical Therapy for Lymphedema
灰田 信英
1
,
根岸 喜美雄
1
,
小池 信雄
1
Nobuhide HAIDA
1
1慶大病院リハビリテーションセンター
pp.387-390
発行日 1975年6月15日
Published Date 1975/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101034
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はじめに
乳癌手術後患側上肢のリンパ浮腫,子宮あるいは直腸癌手術など,鼠径部リンパ節廓清に伴う下肢のリンパ浮腫,先天性に惹起するもの,またリンパ管に対する周囲組織よりの圧迫,瘢痕に伴う四肢のリンパ浮腫は,長期間それを放置しておくと線維性結合組織の増殖を来たし,腫脹肢の痛みや,知覚障害,及び関節の拘縮を起こし,患者の機能障害の大きな原因となる1).従来より,リンパ浮腫の保存的療法として,患肢の挙上,用手マッサージ,運動練習(筋肉ポンプによるリンパ循環促進),弾性包帯,水治療法等が施行されてきたが2),これらの方法では,治療終了後30分位は,一過性にリンパ浮腫の減少が認められるが,それ以後,時間が経過すると,また以前の状態に戻ってしまうという状態であり,一度貯留したリンパ浮腫はなかなか吸収させる事が困難である.
今回は,我々は当リハセンターで取り扱った患者9例に対しで黒田精工で製作されたリンパ循環促進装置(Fluids Controlled Squeezing Massager,以下FCSERと略す)3,4)(図1)を試みた.これにより腫脹肢のリンパ浮腫が減少した時点で,JOBST社(Toledo2,Ohio,U・S・A)製のElastic Supporter,また3M社(St. Paul Minnesota,U.S.A)製のElastic Bandage(図2)を装用させ,良好な治療効果を得たので,当リハ・センターでの末梢リンパ浮腫へのアプローチの方法を,症例を加えて報告する.
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