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Ⅰ.はじめに
歩行障害者にとって車椅子は欠くことの出来ない足代りの補装具であるという事実が広く一般に認識されるようになり,最近では車椅子で自由に往来の出来る社会環境の整備が各地で行われようとしている.
ところで上肢機能に障害があり,通常の手動車椅子を操作出来ない者には電動車椅子(Electric Wheelchair,以下EWCと略)が適応となる.
これまで本邦でも二,三のEWCが紹介されてきたが,通常の手動車椅子に比べると価格が遥かに高いことと,EWCを使用する環境が病院施設内に限定されており,和式家屋内での使用はまず不可能なこと,戸外の使用もさまざまな障害のために制限が多い等の理由で一般に広く普及する段階には達していなかった.ところが最近数年間のうちにEWCに対する関心が急速に高まり,国内各メーカーによる各種タイプの開発,実用化が行われるとともに,障害者にこれらEWCに関する情報を提供しようという試みも各地で行われるようになってきた(例:朝日新聞厚生文化事業団による電動車椅子試乗会).
著者等は昭和45年より重度四肢麻痺患者のためのEWCの開発に従事してきたが1),その過程で内外の各種EWCの性能の比較検討を試みてきた.たまたま昭和48年5月より東京都民生局内にEWCを支給する際に考えられる一連の諸問題を解明する目的で「電動車椅子検討会」が設置され,さまざまな検討を行ってきたので,今回はこれらの資料にもとづいて我国で入手可能な各種EWCについて考察を加えてみよう.なお上記検討会のメンバーは使用者代表3名,専門家4名および担当事務職員4名で構成され,その成果は「東京都電動車椅子検討会調査報告書」として発表される予定なので2)興味をお持ちの読者は参照されたい.
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