老人に対する理学療法士の地域活動

PT Service for the old in a community

はじめに

　日本人の平均寿命は確実に延びている．人生50年の時代から70年時代に突入，実に女子では80年時代を迎えようとしている．長寿は長い間日本人の憧れであったがこれが現実になった今，長生きの内容すなわちいかに幸せに生きるかを考えなければならない．“老いは死よりもこわい”．一般に70歳の老人は平均3～6つぐらいの病気や障害を持っているといわれる．生物医学的に弱者としての老人，いいかえれば心身障害者としての老人に地域がいかに対応するかが今日的老人問題の課題であろう．著者は理学療法士の立場から2つの異なった地域で異なった実施主体によってなされている活動に参加する機会を得たのでこの活動の現状と今後の地域における福祉活動のあり方について知見をのべる．