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特集 痴呆と理学療法
地域における痴呆老人の実態と理学療法士とのかかわり
Dementia and Physical Therapy: The Acutual Staus of Demented Elderly Persons in Community and Physical Therapists' Concern
古井 透
1
Toru FURUI
1
1熊野町役場福祉保健課
1Section of Welfare and Public Health, Kumano Town Office.
pp.618-625
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103345
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Ⅰ.初めに
広島県安芸郡熊野町は,広島市の南東約20kmに位置し,四方を山で囲まれた盆地の中にある.人口は,25,935人(1991年5月現在).60歳以上の高齢化率11.2%で,年を追って高齢化が進んでいるが,熊野町の痴呆老人の総数は次の二つの理由から,不明である.一つには,役場に申告することのメリット(身体障害者手帳,日常生活用具など,手当など)が少ないので,誰もすすんで「うちに,ぼけ老人がいます」とは言わない.二つ目には,明らかな基準が無い.例えば,異常行動の代表格である弄便にしても,おむつをやめて,トイレへ誘導すれば無くなるケースもあるなど,周囲のかかわりで消失したり,表出したりする.少なくとも,ホームヘルパーの把握で,担当ケース8ケース,託老所を利用したことがある人3名の11名のみ.保健婦の把握でも,15名程度あるが,65歳以上の老人の1割程度ではないかと言われる.社会資源については図1のとおりである.
地場産業として毛筆製造が盛んだが,総従業員数150人以上の事業所は町役場をおいて他には無い.昨年の4月より,理学療法士,ソーシャルワーカーなどを配して,地域ケアに取り組んでいる.昨年一年間で,113世帯の在宅訪問を行ない,多くの老人とかかわったが,その中から3例の痴呆老人とのかかわりを具体的に述べる.
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