講座
衛生地域活動の基盤としての老人学級運営について
船石 康雄
1
1山口県豊田保健所
pp.16-18
発行日 1960年9月10日
Published Date 1960/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202165
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結成の動機と目的
老人学級などと今更こと新しく取上げるほど珍しい問題でもないが,実施後3年余にしかならないのに,意外の成果を得,益々盛況を見つつあるので,ここにその実態を紹介して御参考に供したいと思う.
私が老人学級を結成した主なる理由は,2つある.従来地域衛生活動を実施する場合,その対象は婦人会,母子会,若妻会,青年団,自治会などでその活動は常に次第細りの状態となり,出席率の低下に悩まされて来たものである.そこでその原因の究明に努力した結果,それが老人層の無理解にあることが判明したのである.農山漁村ではまだ老人の主権的座は相当に強固で,而も老人の研修の場はなく益々老若思想の隔りは深まり,老人の頑固さが強いことに気付き,老人にも同じように集会の場を与え歩調を合すべきだと感じたのである.今ひとつは平均寿命の延長に伴い老人層における衛生管理の問題である,老人層の実態を把握し老人病の予防対策を樹立し,老人に生きる喜びと明るい希望を持たせ有意義な人生を送らせるために老人学級の必要を痛感したわけである.
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