The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 7, Issue 11
(November 1973)
Japanese
English
特集 脊髄損傷
四肢麻痺患者に対するFunctional OT
Functional OT for patient with quadriplegia.
森永 憲子
1
Noriko MORINAGA
1
1京都府立洛東病院
pp.808-816
発行日 1973年11月15日
Published Date 1973/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100730
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はじめに
頚髄損傷患者のOTを効果的にかつ迅速に行なうためには,医師は勿論のこと,OT,ナース,MSWなど関係医療従事者との密接な協力体制が必要とされる.早期より(できれば受傷直後より)リハビリテーションスタッフの参加できるような医療体制が整っていれば,頚髄損傷患者の随伴症状の様にいわれがちな褥創や関節拘縮などのいわゆる二次的合併症により,いたずらに治療期間をのばすような不手際は生じないであろう.少なくとも脊髄損傷患者のリハビリテーションに関与していると自認する者にとって,この様な合併症は,スタッフとして,チームとして,または病院としての恥であるという程度の厳しい自覚が必要であろう.しかし,筆者の知る限り現実には,受傷後1~2年でリハビリテーション部に紹介され,その時点ですでにスムーズに治療開始が行なわれるのを阻害する重度の褥創,関節拘縮などの制限を伴い,本来のスタートラインに達するまでにかなり手こずり,治療効果も上がりにくく,その間に患者も意欲をそがれがちである.またプラトーに達してから,家族を含めた社会面での受け入れ体制が不十分なため,存院期間が長期に渡り,ホスピタリズムの傾向を示す患者も多く見ている.たとえ家庭に帰った患者でもFollow-upや家族指導が十分にあるいは全くなされず,やりっぱなしの治療が多く行なわれていることも事実である.
この稿を書くにあたり,上記の不備を踏まえた上で,労災病院および車椅子スポーツを通じて脊髄損傷患者のリハビリテーションに名高い英国ストーク・マンデビル病院のSpinal Cord Injury Centerに勤務した経験を整理し,一つのまとめを出してみたい.
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