The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 7, Issue 11
(November 1973)
Japanese
English
特集 脊髄損傷
四肢まひ患者のADL
ADL for the spinal cord injury patients.
濱島 良知
1
Yoshitomo HAMASHIMA
1
1東北労災病院リハビリテーション診療科
pp.817-822
発行日 1973年11月15日
Published Date 1973/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100731
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四肢まひ患者はその発生原因として頚髄腫瘍などの疾病のほかに交通事故や建築作業中の高所からの墜落などの労働災害,水泳の際のダイビングの事故などによるものが多発しており,リハビリテーションを必要とする各種の機能障害のうちでも問題の多い重篤な障害をもった患者である.一旦不可逆的な損傷をうけた以上,それに起因する上下肢の運動,知覚障害は膀胱直腸障害とともに程度の差はあっても永続的なものとなって,患者自身はもとより,医療従事者,家族らによる再起への努力にもかかわらず社会復帰の上でいろいろな困難を伴なうのが現状である.ADL上特に問題の多い上肢の機能障害は損傷された頚髄髄節の高さによってそれぞれ異なった形を示しておりC4以上では直接生命に危険があるかまたは首の運動ができる程度で,ADLの発展はほとんどのぞみ得ないが,比較的多いC5-6,C6-7損傷においては肩甲骨運動,肩関節の屈伸,内外転,内外旋など各方向への運動,肘関節の屈伸,前腕回内外,手関節掌背屈などの上肢大関節の運動機能や外来筋群による手指の運動などが障害をうけることになり,障害の程度によってトランスファーが可能であるか,手指の運動が可能であるかなどによってADLの将来に基本的なパターンをつくり出してくる.反面,四肢まひ患者にしばしばみられる痙直,関節拘縮などはいろいろな程度に動作を阻害する因子となり,また呼吸筋麻痺による呼吸機能低下は患者の耐久性に影響してこれもひとつの阻害因子となる.
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