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はじめに
1992年春頃から,ヒトの脳の活動部野を詳細にイメージ化できる磁気共鳴画像法(magnetic resonanceimaging, MRI)の新しい使い方が示され1-3),functional MRI(fMRI)と呼ばれて脳科学のひろい分野からかなりの興味と期待を呼んできている。MRI法である故,その測定はまったく非侵襲的であり,活動部野の空間位置は解剖学的MRイメージのうえにそのまま重ね合わせることで決められる(図1a, b)。またその測定の空間分解能も高く,秒単位の経時変化を追うこともできる。感度は個人測定のみで結果を出せるほどであり,被験者間の平均をとる必要がない。脳活動に付随して起きるhemodynamicsの変化が及ぼすMRIシグナルへの影響を取り出してイメージ化するもので,PET(positron emission tomography)で血流の変化を測定して脳機能のマッピングをするのとよく似ている。fMRIはまだはじめられてから日が浅いので4),それがどのようなものであるか説明することを目的として,fMRIの方法,fMRIにおけるシグナル変化の要因,ヒトの脳での適用例(知覚刺激や運動による活動部野の測定,認知機能に対応する部野の検出など),臨床面などへの今後の応用と問題点について記述してみたい。
An emerging field of magnetic resonance imaging, functional MRI, is described in this introductory review. Functional MRI is a new way to map brain function in human non-invasively. It has good sensitivity to detect and to image areas of activation induced by sensory stimulation, motor action and cognitive function. The content of this review covers the following topics.
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