特集 神経疾患の新しい画像診断1
5.Functional MRI
中田 力
1
Tsutomu Nakada
1
1新潟大学脳研究所統合脳機能研究センター
1Center for Integrated Human Brain Science, Brain Research Institute, University of Niigata
キーワード:
Munro-Kellie Doctrine
,
ICA
,
ICS
,
fMRI
,
Issorar
Keyword:
Munro-Kellie Doctrine
,
ICA
,
ICS
,
fMRI
,
Issorar
pp.874-882
発行日 2002年10月1日
Published Date 2002/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406902012
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Ⅰ.機能局在と機能画像
近代脳科学の歴史は19世紀初頭,フランスの脳外科医Pierre Paul Brocaによる失語症の記載に端を発する。以来,高次脳機能とは脳の特異的部位で行われる情報処理として捉えられるようになった。いわゆる,機能局在である。20世紀に入り,HodgkinとHuxleyにより脳の基本ユニットであるニューロンの活動が活動電位という時系列信号変化によって捉えられることが示される。ここから,電気生理学が脳機能解析の主役として君臨することとなったが,高次脳機能解明法としては致命的な欠点も抱えていた。電気生理学的手法が,実験前の仮説に基づいて選択した脳の部位におけるニューロン活動の解析には長けているものの,脳全体から,未だ確定していない脳の機能局在を同定する技法としては,役に立たないからである。
ある脳機能に使われている脳部位を同定するためには,脳における情報処理過程を脳全体で観察することのできる技術が必須である。それは,本来,時系列信号であるべきニューロンの活動をスナップショットのように凍結し,活動しているニューロンの存在する脳の部位を特異的に映し出すことのできる画像を作ることであった。この概念に沿って開発されたものが,現在,「機能画像」と総称される様々な技法である。
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