書評
「リハビリテーション処方集」
土屋 弘吉
1
1横浜市立大学
pp.518
発行日 1973年7月15日
Published Date 1973/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100662
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本書は「処方集」という名が冠せられているが,実は大へん懇切丁寧に書かれたリハビリテーション入門書である.ただ一般の入門書と異なり,“処方”というアプローチを通じてリハビリテーションの技術を解説し,ひいてはリハビリテーションの理念を理解させるという,いわば搦手からの攻め方を採用していることが特徴で,そのために記述が具体的,実際的,例示的である.
たとえば,脳卒中後麻痺についていえば,まず概論の中で機能判定の基準,分類,処置の実際,リスク管理,P.N.F.等について述べられ,ついで片麻痺の臨床分類では実際の症例が提示され,それについて
処方1(10月30日)
1)血圧管理
2)体位変換.少なくとも2時間ごとに.
3)良肢位保持.
のごとく処方例が示され,その後の経過の説明があった後,
処方2(11月4月)
4)筋力テスト,Brunnstromテスト.
5)介助により坐位とし,背部支持で座位保持.時間をしだいに延長するとともに支持を減らしていく.
6)関節可動域訓練,筋力強化訓練(P.N.F.を加えたP.R.E.)
のごとく例示し,その後に1頁にわたり詳しい説明を加えている.更に11月11日には処方3が出され,11月15日には短下肢装具が処方され,12月24日の処方4で杖なし歩行指示,復職の前段階まで記載しており,その後にこの症例のまとめを書き,この項に必要な参考書を紹介している.
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