書評
監修:大島良雄(東大名誉教授),山田憲吾(徳島大教授) 編集:佐々木智也(東大助教授),野島元雄(徳島大助教授)―リハビリテーション処方集
土屋 弘吉
1
1横浜市立大学
pp.508
発行日 1973年4月10日
Published Date 1973/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102927
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本書は「処方集」という名が冠せられているが,実は大へん懇切丁寧に書かれたリハビリテーション入門書である.ただ一般の入門書と異なり,“処方”というアプローチを通じてリハビリテーションの技術を解説し,ひいてはリハビリテーションの理念を理解させるという,いわば搦手からの攻め方を採用していることが特徴で,そのために記述が具体的,実際的,例示的である.
たとえば,脳卒中後麻痺についていえば,まず概論の中で機能判定の基準,分類,処置の実際,リスク管理,P.N.F. などについて述べられ,ついで片麻痺の臨床分類では実際の病例が提示され,それについて,
処方1(10月30日)
1)血圧管理
2)体位変換,少なくとも2時間ごとに,
3)良肢位保持,のごとく処方例が示され,その後の経過の説明があった後,
処方2(11月4日)
4)筋力テスト,Brunnstromテスト,
5)介助により坐位とし,背部支持で座位保持.時間をしだいに延長するとともに支持を減らしていく,
6)関節可動域訓練,筋力強化訓練(P.N.F. を加えたP.R.E.)
のごとく例示し,その後に1頁にわたり詳しい説明を加えている.さらに11月11日には処方3が出され,11月15日には短下肢装具が処方され,12月24日の処方4で杖なし歩行指示,復職の前段階まで記載しており,その後はこの症例のまとめを書き,この項に必要な参考書を紹介している.
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