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はじめに
リハビリテーションの中で行われるスポーツには,機能訓練的な要素の部分とリクレーション的要素を含んだ部分とがある.
機能訓練的色合いの濃いスポーツは治療体育(remedial gymnastic)として,医師,訓練士,スポーツ指導員などの指示管理の下で病院やリハビリテーション施設内で行われることが多く,リクレーション的要素の強いスポーツはリハビリテーション施設なり障害者が社会に戻った地域でクラブ活動として行われることが多い.
「処方」という表現については薬と同様に医師の責任が明記されるという点からみると,治療体育的色合いの濃いスポーツでは妥当と考えても,市民スポーツ的色彩の濃い部門にまで「処方」するかどうか問題が残される.
最近は社会復帰した障害者が,勤務後や休日に集まって訓練をする機会が増えてきている.しかしこの多くの者は相談相手となる医師なりコーチを持っており,折りにふれて指示を受けている.
昭和55年(1980年)に実施された身体障害者の実態調査の結果は,在宅身体障害の74%の者が一年間に1回は医療機関を訪れ,26%の者は一年に30日以上の通院を必要としたことを示している.
また身体障害者スポーツ競技大会は,出場者の障害の種類,程度によって出場種目が分けられているが,この障害の認定も現在医師が行っている.
このような点を考慮に入れるとリハビリテーションの分野で行われるスポーツには何らかの形で医学的な管理なり協力が必要である.
最近一般市民の間で体力増強について運動処方という言葉が使用されるようになってきたが,リハビリテーションの分野でスポーツ処方という表現はまだ少なく,身体障害者スポーツの先駆者である故グットマン卿の著書「障害者スポーツ」の中にも処方に関する記述は認められない.
この項では一般に用いられている運動処方を参考に,リハビリテーションにおけるスポーツ処方の意義と問題点について触れてみたい.
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