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本の紹介/脳性まひ児の心理(A Psychological Study of Cerebral Palsied Children)―Helle H. Nielsen著(永井昌夫 大村実訳)
吉見 契子
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1神奈川県立身体障害者更生指導所
pp.461
発行日 1973年6月15日
Published Date 1973/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100653
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患者および障害者にとって,いい病気とかいい障害というものはあるはずがないが,適切な治療プログラムをたてることにより,機能回復が目に見える整形外科的疾患者にくらべ,脳性マヒ者の治療は暗中模索と言い得るのではないだろうか.たしかに,早期治療が唱えられ,一歳未満の乳幼児が,整形外科病院やリハビリテーション施設といわれている所に通院し,あるいは,地域の訓練会が開かれている.また,神経学的ないろいろな説のもとに多様なテクニックが使われ,一応の治療効果をあげてはいる.しかし,脳性マヒに携わる多くの人たちの中で,脳性マヒとは何であろうか,何をなせばいいのであろうかと,日々悩み,行きづまっているような人も多いことであろう.病的反射の亢進,筋肉の過緊張,言語障害,知能障害はもとより,知的には一応障害がないと思われる患者に,いわゆるperceptionの障害があり,立体認知が出来にくく,他の訓練にも影響を及ぼす……等どの障害をみても,前途を憂えざるを得ないのである.
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