Japanese
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展望
末梢循環障害の理学療法―切断の臨床経験を中心に
Physical therapy for peripheral vascular disorders: a report of clinical experience of amputee
福屋 靖子
1
Yasuko FUKUYA
1
1東大病院リハビリテーション部
pp.241-246
発行日 1973年4月15日
Published Date 1973/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100602
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はじめに
末梢循環障害をきたす原因疾患としては,動脈の疾患,静脈の疾患,リンパ管の疾患があり,それぞれにいくつかの診断名が専門書に記載されているが,ここではその中の動脈の疾患である閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans)と閉塞性血栓血管炎(thromboangitis obliterans)に限って述べてみたい.
過去5年間(昭和43-47年)に東大病院リハビリテーション部理学療法室であつかった閉栓性動脈硬化症の症例は17例,閉塞性血栓血管炎の症例は9例で,両者を合わせて26例である.この26例中切断患者となったものは25例で,したがってここで紹介する内容は,末梢循環障害に切断を伴った症例に対する理学療法が中心となっている.
閉塞性動脈硬化症とは末梢動脈硬化症ともよばれ動脈硬化を基礎として徐々に進行する血栓症による末梢動脈閉塞で,間歇性跛行:末梢拍動の消失と末梢虚血により診断される.治療としては,内科的な治療の他に血管摘出,動脈内膜剥離,動脈の一部摘除と人工血管の移植,切断などの外科的なものがある.
閉塞性血栓血管炎とは下肢の末梢動脈に閉塞性の内膜炎を起こす疾患で間歇性跛行と下肢壊疸をきたす疾患である.治療としては,やはり内科的なものと外科的なものとがあり,外科的なものとしては血管周囲交感神経切断術や交感神経索切除,肢切断などが行なわれる.
上記いずれの場合にも医学的治療としては,内科的,外科的なものが主流をなすことはいうまでもないが,理学療法技術の果たす役割もいくつか認められている.
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