筋病理組織図譜・6
末梢神経損傷(切断)
桜井 実
1
,
黒沢 大陸
1
1東北大整形外科
pp.458
発行日 1972年6月25日
Published Date 1972/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904697
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筋の神経支配が剥脱されると随意性収縮がなくなり萎縮が進行して行く.第1図は成人,腕神経叢損傷45日後の上腕二頭筋で臨床的に筋力は零でEMGでもfibrillationが認められた部分である.正常筋に比べて直径が一様に細くなり筋鞘核が増加し,かつ円形化し,第2図の強拡大では核の筋線維内への移動が観察される.
H-E染色で内部構造の変化は認め難いが,コハク酸脱水素酵素染色で特異な円形の酵素活性脱落が発見される(第3,4図).これはすべての症例に出現する訳ではないがtarget fiberと称せられdenervationの際出現する特有の変化である.この症例では赤筋線維にのみ変化が認められる.注意深くH-E標本をみると第2図の中央のような変化が辛うじて捉えられることもある.第5図のようにphosphorylase活性も欠如していることからtargetの内部はsarcoplasmではなくmyofibrilの変性したものと思われる.脱神経により一般に酵素活性は低下し,さらに萎縮が進行する.第6図は腓骨神経切断後4ヵ月の前脛骨筋で,筋線維は細くなりところどころ食細胞が古い萎縮線維を取り巻き,間質の結合織が増殖してきている.
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