Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
中ないし後部篩骨蜂巣および蝶形骨洞は解剖学的に視器および頭蓋底の諸重要構造に隣接しており,この部に病変が起こると主として限症状を呈する場合が多い。また時に重篤な頭蓋内合併症を併発することも少なくない。従来より中〜後部副鼻腔疾患においては病変の発生初期には頭痛などの非特異的症状を示すのみの場合が多く,診断が確定するころには病変がかなり進行した場合が多いとされていた1)。しかし近年X線診断学とくにCT撮影法の発達によりこれらの部の病変の早期かつ正確な診断が可能になってきている。これに伴い適切な治療を早期に行うことが可能になるものと期待される。しかし一方では依然として進行した症例を経験することも少なくないのが現状である。
今回われわれはいずれも他科初診にて中ないし後部副鼻腔嚢胞を疑われ当科紹介を受け手術的に症状の軽快をみた3症例を経験する機会を得たので,若干の文献的考察を加え報告する。
Three cases of middle or posterior paranasal sinus mucoceles are reported. These lesions caused visual disturbance, occipitalgia or hyperlacrimation, but nasal symptoms such as rhinorrhea or nasal obstruction were not developed.
For the diagnosis of these lesions, the computed tomographic scanning (CT) was more helpful than plain films or tomograms of sinus and skull regions.
The symptoms were improved after surgery by endonasal or transantral approach to the lesions.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.