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症例をどうみるか 眼球運動障害を伴う後部副鼻腔囊胞の1例
菱村 祐介
1
,
吉川 衛
1東邦大学医療センター大橋病院 耳鼻咽喉科学講座
キーワード:
眼球運動障害
,
MRI
,
内視鏡法
,
術後性上顎嚢胞
,
頭部CT
Keyword:
Magnetic Resonance Imaging
,
Ocular Motility Disorders
,
Endoscopy
pp.121-124
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.24479/J01814.2020134305
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症例は80歳女性で、3週間前からの複視を主訴に当院眼科を受診した。頭部のCTおよびMRI検査にて脳動脈瘤や腫瘍は認められなかったが、副鼻腔嚢胞が認められたため、当科を紹介受診した。Hess氏視野検査では左眼の外転で障害を認め、副鼻腔CTでは両側篩骨洞より広がるように軟部組織陰影を認め、外眼筋を圧排していた。後部篩骨洞嚢胞による外転障害と考えられ、準緊急的に全身麻酔下に内視鏡下鼻副鼻腔手術を施行した。左嗅裂付近より鼻中隔後方の腫瘤にアプローチし前壁を開放したところ、洞内は粥状の黄褐色物質が充満していた。可及的に除去、洗浄し、さらに蝶形骨洞を開放すると膿性の貯留液が確認された。術中に提出した病理検査の結果は嚢胞性病変であり、細菌培養検査および真菌培養検査の結果は陰性であった。術後6ヵ月の経過時点で複視や嚢胞の再発は認めていない。
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