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I.はじめに
聴力正常で,蝸牛症状を伴わず,頑固にめまい発作を繰り返し,温度眼振反応が一側低下している症例に対し,どのようにして完全にめまいを治療するか,困ることがしばしばある。メニエール病であれば,内リンパ嚢減荷術,聴力が非常に悪ければ,迷路破壊術などにより,めまい発作を治すことが可能である。しかしこのような症例は,聴力が正常であるため,聴力を損なうことなく治療せねばならない。
このような症例や良性発作性頭位眩暈症で,長期にわたりめまいを繰り返す場合,鼓膜を剥離し,正円窓窩へ硫酸ストレプトマイシンをジェルフォームにまぶして置いてくる方法などが行われていた1)。この方法は,外耳道の狭い人では操作が困難であり,また硫酸ストレプトマイシンが生理的食塩水に濡れるとべたつき,十分正円窓窩へ入らないこともあった。時に術後に鼓膜の穿孔をきたした例もあったりし,他の方法の検討に迫られていた。
The patients who had recurrent vertiginous attacks with or without hearing impairment and whose unilateral caloric responses were reduced had been treated by injection of streptomycin sulfate into the middle ear cavity.
After this therapy, the vertiginous attacks disappeared, however, some of the patients complained of dizziness for a long time. Two patients with Meniere's disease out of 27 cases had hearing impairment after this treatment.
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