特集 小児耳鼻咽喉科疾患
反復性中耳炎
形浦 昭克
1
1札幌医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.685-693
発行日 1972年10月20日
Published Date 1972/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207830
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Ⅰ.緒言
近年,免疫生化学の発達とともにわが耳鼻咽喉科学領域においても,種々の病態解明に大きく寄与している。ことに頻回に繰り返す小児の中耳炎,副鼻腔炎や気管支炎などの感染症は,γ-グロブリンの欠乏によることなどが判明しHypogammaglobulinemiaおよびDysgammaglobulinemiaなる言葉が使用され,これらを一括して免疫不全症候群Immunologic deficiency syndrome(IDS)と呼ばれる様になつた。小児の中耳炎は簡単に治癒するものもあるが,一般に再発が多いことや概して遷延化しやすいことが特徴であり,特に,最近では無暗な抗生物質の使用や,局所的に主な因子となつているリンパ組織の外科的排除を積極的に行なわないことなどにより,ますます増加の傾向にある様に思われる。ここにこれら小児の反復性中耳炎の成因からみた病態について言及する。
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