特集 滲出性中耳炎—最新の知見—
V.予後
滲出性中耳炎の予後
古賀 慶次郎
1
,
川城 信子
1
,
荒木 昭夫
1
1国立小児病院耳鼻咽喉科
pp.877-884
発行日 1984年10月20日
Published Date 1984/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209862
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.はじめに
滲出性中耳炎の多数例について,その経過が,どのようなものであるかを理解することは,本症の治療に当たる場合の基本にかかわることで重要である。日常臨床でも気づくことであるが,鼓膜切開をしないで,経過をみているうちに滲出液が消失し,自然治癒と思われるものもあれば,あらゆる手をつくして治療に当たっても,数年にわたり再発を繰り返し,治癒しないものもある。経過は治療法の如何によって影響を受けるが,どのような治療にも抵抗して好転しないものがある。稀には癒着性中耳炎や真珠腫に移行するものがある。
この予後における多彩な状況は本症の臨床像の特徴的な点である。
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.