JIM臨床画像コレクション
急性中耳炎と滲出性中耳炎
瀬野 悟史
1
,
榎本 雅夫
1
,
嶽 良博
1
,
藤村 聡
1,2
1日本赤十字社和歌山医療センター耳鼻咽喉科
2京都大学医学部附属病院総合診療部
pp.180
発行日 2001年2月15日
Published Date 2001/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903193
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中耳疾患の中で比較的内科医が目にすることの多い疾患について解説する.表紙左図には正常鼓膜を示した.鼓膜にはツチ骨が付着しその隆起を観察することができる.鼓膜は上方の弛緩部と下方の緊張部とに分けられる.緊張部右下方には光錐が見える.鼓膜は正常ではほぼ透明で,中耳が透見できる.高齢者では一部に石灰化が見られることもある.
急性中耳炎:右図上には軽度の急性中耳炎の鼓膜を示した.鼓膜の軽度の発赤が見られる.耳痛,発熱,難聴などを症状とし,起炎菌はS.pneumoniae, H.influenzae, S.aureus, M.(B) catarrhalisなどが多い.治療は,ペニシリンやセフェム系の抗生剤と消炎剤を,罹患初期に必要かつ十分量投与するのがよい.急性中耳炎の重症例では,鼓膜は中耳腔への膿の貯留のために,むしろ乳白色となることがある.この場合は鼓膜切開などを行う必要がある.近年では起炎菌に耐性菌がしばしば見られ,治療に難渋する.
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