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特集 小児の中耳炎を究める
≪小児の中耳炎の診断と治療≫
滲出性中耳炎
Otitis media with effusion
仲野 敦子
1
Atsuko Nakano
1
1千葉県こども病院耳鼻咽喉科
pp.46-51
発行日 2016年1月20日
Published Date 2016/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200810
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POINT
●滲出性中耳炎(OME)は,鼓膜に穿孔がなく中耳腔に貯留液を認める中耳炎であり,発症初期のものから遷延したもの,貯留液の量,鼓膜の病的変化の程度などさまざまであり,小児滲出性中耳炎診療ガイドラインが作成されているが,あくまでも診療を支援するものであり診療を拘束するものではない。それぞれの症例に最適な治療方法を選択する必要がある。
●OMEの診療にあたっては,鼓膜の詳細な観察が必要で,鼓膜の奥にある中耳貯留液の性状と量を推測し,それに基づいた治療が必要である。
●OMEの治療は,中耳貯留液や鼓膜の病的変化などOMEそのものに対する治療と,OMEの病態に影響を及ぼしている周辺器官の病変に対する治療とに分けて考える。
●周辺器官に炎症(鼻副鼻腔炎の合併)を認めた場合には抗菌薬の使用を検討するが,長期投与は避ける。
●鼓膜換気チューブ留置術は,両側難聴症例や鼓膜の病的変化の強い例で適応となる。長期型チューブでは穿孔残存率が高いことを考慮し,チューブの種類を選択する必要がある。
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