特集 滲出性中耳炎—最新の知見—
V.予後
中耳癒着症・中耳硬化症
中野 雄一
1
1新潟大学医学部耳鼻咽喉科
pp.885-890
発行日 1984年10月20日
Published Date 1984/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209863
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I.中耳癒着症
中耳癒着症は癒着性中耳炎ともいわれる。英語ではadhesive otitis mediaが一般的である。本症の診断は,通常次のような鼓膜所見が得られたときに下される。すなわち鼓膜が強く内陥し,可動性がまったくなく,耳管通気によってもその状態に変化がみられないときで,かつ難聴が主訴となっている場合である。換言すれば,鼓膜の鼓室内側壁への強い内陥はあるが,鼓膜には穿孔がなく,かつ可動性もない状態である(図1)。形態学的には鼓膜が鼓室岬に癒着した状態であるが,最終的にこれを確認するには,癒着部の穿刺が不能かair spaceや貯留液のないことを明らかにする必要があろう。なお本症の難聴は,一般に滲出性中耳炎のそれよりも高度で,40〜50dBのair-bone gapを示すことが多い。
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