特集 小児診療ガイドラインのダイジェスト解説&プログレス
耳鼻科
51.滲出性中耳炎
伊藤 真人
1
1自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児耳鼻咽喉科
キーワード:
滲出性中耳炎
,
小児滲出性ガイドライン2015年版
Keyword:
滲出性中耳炎
,
小児滲出性ガイドライン2015年版
pp.787-791
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001323
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小児滲出性中耳炎の治療の目標は,中耳貯留液による難聴を可及的早期に改善することと,鼓膜の病的変化とその後遺症を予防することである.欧米のガイドライン1)の主要な論点は,プライマリ・ケアを担当する家庭医や小児科医に対して,「いつ,どの時点で鼓膜換気チューブ留置手術のために耳鼻咽喉科専門医へ紹介するか」であることから,発症早期の3か月間はwatchful waitingの期間であり,治療は行わず,その後の治療も手術加療(主に鼓膜チューブ留置術)のみであり,保存的治療は行なわないと述べられている.一方,日本のガイドライン2)3)のコンセプトは,watchful waitingの期間においても「中耳貯留液などの滲出性中耳炎そのものだけではなく,周辺器官の炎症病変に対する配慮」を求めていることである.
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