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I.緒言
鼻咽腔血管線維腫は,思春期の男子に稀に発生する良性腫瘍である。しかし,本腫瘍は臨床的には,その早い拡張性発育のため周囲を圧迫し,時に多彩な症状を呈する。また,易出血性腫瘍であるため,治療に際してはしばしば困難を伴うことが多い。本症の発生に対して,古くから性ホルモンバランスの不均衡が一つの誘因と考えられている。従って,本症に対して性ホルモン療法も行われ,その有効性が報告されている。しかし,その治療効果は症例により様々であり,投与ホルモンもestrogen,progesteron,testosterone等,試行錯誤の状態にあるといわざるをえない。また,腫瘍摘出に際しては,大量出血の可能性が強く,その予防法も確立されていない。今回,我々は15歳男子の症例に対して,testosterone製剤であるハロテスチンを投与し,その有効性を追試した。加えて,頸動脈撮影を実施し,feeding arteryに対して手術前日にembolizationを行い,少量の出血で容易に腫瘍を摘出しえたので,若干の考察を加えて報告する。
A patient, aged 15, was suffering from epistaxis and nasal obstruction. Rhinoscopic examination showed a large angiofibroma filling in the nasal cavity. Hormonal therapy with Halotestine 4mg/ day was selected for the first choise. After 6 weeks of the hormonal therapy the size of tumor reduced to about 1/3. The patient then underwent selective angiography in order to determine the feeding artery. Following arterial embolization, the remaining tumor was successfully removed by transpalatine approach.
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