特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科における手術の危険度
口腔咽頭
27.鼻咽腔線維腫摘出術
加藤 壽彦
1
1福岡大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.129-132
発行日 2002年4月30日
Published Date 2002/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902545
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はじめに
鼻咽腔線維腫は,鼻咽腔血管線維腫または若年性鼻咽腔血管線維腫などと呼ばれ,その名の通り主として思春期の男性に発生する非常に血流に富んだ腫瘍である。この腫瘍は良性腫瘍であるが近接部位に増殖し,特に側頭下窩,眼窩,前頭蓋底などに進展した症例は治療に苦慮することが多い。また,その臨床像から再発の可能性が高く,臨床的には悪性腫瘍として取り扱われている。この疾患の基本的な治療法は手術であるが,血管に富み易出血性で術中大量の出血をみること,術野が上咽頭を中心とした深部であり,上分な視野の確保が困難であることなど,手術を行ううえで留意する点が多い。
この特集では手術の危険度を術中・術後の合併症を避けるために企画されたものであるが,鼻咽腔線維腫の手術は視野の確保,出血に対する対応を十分に立てておくことが,術中・術後の合併症に対処する最も重要なことである。
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