特集 頸部腫脹の臨床
II.診断・治療
リンパ節腫脹
炎症性腫脹
鳥飼 勝隆
1
Katsutaka Torikai
1
1名古屋保健衛生大学医学部内科
pp.769-774
発行日 1983年10月20日
Published Date 1983/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209671
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I.はじめに
人体には1mmから1〜2cm直径のリンパ節が500〜600個存在するといわれ,頸部にも図1のごとくのリンパ節がある(図1)。リンパ節では,体外から侵入してきた細菌その他種々の異種抗原を補捉し,かつそれに対する免疫反応を起こすなどの働きを司っている。これらリンパ節は正常の場合,一般には体表から触知されることはない。しかし,種々の病因によってリンパ節が腫脹してきて,その時に表存性のリンパ節も触知され,疼痛を伴ったり,瘻孔をつくったりしてくる。
表在性のリンパ節の腫脹は,特に治療の対象となるような病的な状態でなくとも起こり得る。一方,種々の疾患の一症状として,リンパ節の腫脹があり,リンパ節の所見が決め手となって特異な疾患の診断が得られることもある。したがって,リンパ節腫脹の有無の検索は疾患の診断のためには,極めて有用なことであり,ないがしろにできない重要な所見である。
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