特集 頸部腫脹の臨床
I.原因疾患の推定
頸部腫瘤—診断の進め方
小林 武夫
1
,
羽石 芳子
1
Takeo Kobayashi
1
,
Yoshiko Haneishi
1
1中央鉄道病院耳鼻咽喉科
pp.757-768
発行日 1983年10月20日
Published Date 1983/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209670
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I.はじめに
皮膚,筋,骨,軟骨,血管,神経,唾液腺,リンパ節など多様な臓器からなる頸部には多種類の原発性ないし続発性の疾患がみられる。良性腫瘍の種類の豊富さは,他領域に類をみないところで,幾つかの例外を除いてほとんどすべてを網羅してるといっても過言ではない。また,頸部には胸腹部などからの遠隔転移も多い。頸部腫瘤は日常よく遭遇する病変であるが,このような病変の多様さ故に,正確な診断は必ずしも容易ではない。近年は大学病院では腫瘍外来とか腫瘤外来と称する特別診療外来を設けることも多く,また,腫瘍診療のみを標榜する施設があり,そちらに患者を送れば,事が足りる訳であるが,一般耳鼻咽喉科診療でも多少の工夫により確定診断に至る症例を増やすことが可能となる。
本稿では頸部腫瘤に対する診断の進め方を上記の専門外来と一般外来の中間の立場から述べてみたい。
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