今月の主題 膠原病—最新の知識
診断・治療
全身性エリテマトーデス(SLE)
佐藤 真紀子
1
,
鳥飼 勝隆
1
Makiko Satoh
1
,
Katsutaka Torikai
1
1藤田学園保健衛生大学・内科
pp.1566-1569
発行日 1984年9月10日
Published Date 1984/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219208
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SLEは,膠原病の代表的疾患で多臓器障害を特徴とする.その臨床症状は多彩で,しかも主要症状が全て同じ時期に揃うわけではなく,寛解再燃を繰り返し,長い経過の間に揃ってくるため,受診時に必ずしも全ての症状が発現しているとは限らない.例えば,蛋白尿,円柱尿のみ気づかれ急性糸球体腎炎として診断されてしまうこともありうる.また個々のSLE患者は,SLEにみられる多彩な症状,検査所見の様々な組み合わせを持っており,その診断確定は困難なことが多く,施設によって診断が異なるおそれもある.その上SLEの発症に自己免疫異常が関与するとされているが,病因は未だ明らかではない.例えば,感染症の場合の原因菌,もしくはウイルスの分離の如き,診断の決め手となる所見がない.そのため旧くから様々な診断基準が工夫されてきた1〜4).SLEの治療は,副腎皮質ステロイド剤を中心とした抗炎症剤によって症状を寛解させるのが基本である.副腎皮質ステロイド剤の必要量も臨床症状や病型によって異なるので,個々の症例の臨床像を正確に把握することが重要である.
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