特集 頸部腫脹の臨床
I.原因疾患の推定
問診・視診・触診—悪性腫瘍を中心として
佐藤 靖雄
1
,
藤岡 正勝
2
,
鳥山 稔
3
Yasuo Sato
1
,
Masakatsu Fujioka
2
,
Minoru Toriyama
3
1東京大学
2社会保険中央総合病院耳鼻咽喉科
3国立病院医療センター耳鼻咽喉科
pp.741-755
発行日 1983年10月20日
Published Date 1983/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209669
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I.はじめに
発癌遺伝子の存在やモノクローナル抗体など,発癌の理解と制御の進歩は目ざましいが,これらは分子レベルのため,認識に限界があり現象に不確定な性質が本質的にあるから,理解するには理性に基づきながら理性に束縛されない判断が求められている。分子・細胞・組織は次元が異なり多様性が増し,分子レベルだけでは戦術にならない。しかし分子の協力現象で細胞の構造と機能が生じ,細胞の協力現象で組織の外観と活性が変わり,また全身の状態でも左右され,特に腫瘍増殖局所が体と腫瘍との関連を端的に示しているから,ミクロの内部構造が行っていることの反映であるマクロの外観の違い・経過を視診・触診で捕え,その性状を確率的につかみ,全体の現象をパターンとして認識するのが診療の基本である。
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