特集 がん患者のフィジカルアセスメント ~部位別に見逃したくない問題を理解する~
Ⅰ.フィジカルアセスメントとは
問診,視診,触診,打診,聴診について
山花 令子
1
1東京医療保健大学千葉看護学部/がん看護専門看護師
pp.373-374
発行日 2021年6月15日
Published Date 2021/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_373
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フィジカルアセスメントとは
フィジカルアセスメントは,患者(ときに家族)への問診によって得られた主観的情報(Subjective data)と視診・触診・打診・聴診によって得られた客観的情報(Objective data)を統合して,対象に何がおこっているかを解釈・分析(Assessment)することである.これにより事実は何か,誰の考え(認識)かを区別して思考しているのである.
がん治療において,これらの技術をフル活用して,対象者情報を得たうえで早期対応をすることは,合併症の重篤化を予防し,休薬期間を短縮することにつながり,患者のQOLや治療効果へも影響する.
身体情報を得る際にどのような視点で情報を得ているだろうか.たとえば,治療歴や使用する薬剤から過去に出現経験のある症状などから,発生リスクの高い問題(図1)を予測して,「異常を探す」,「観察する」視点は,合理的であり,有用である.しかし,それだけではリスクの低い,あるいは新たな症状を見落としてしまう可能性があることを忘れてはならない.自覚する所見がないときでも,探索的に身体を確認すること,看護師が患者と向き合った際に感じる「何かおかしい」に,立ち止まって「正常」かそうでないかを確認すること,そして,もちろん患者からなんらかの訴えがあり,それがどのようにおかしいかを確認すること,が情報を得る姿勢として重要である.
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