特集 耳鼻咽喉科MEの進歩
I.耳科
ERA
大西 信治郎
1
Shinjiro Ohnishi
1
1横浜市立大学医学部耳鼻咽喉科
pp.721-726
発行日 1981年10月20日
Published Date 1981/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209316
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I.はじめに
最近のERA機器をみると各社の製品は一様に性能は向上し,操作が容易になってきている。全体の傾向として主要部分を1つの箱におさめて小型化し,自動化され,かつ台車により病室,手術場,ICUなどへ移動させて検査できるように可動型になっている。今日のERAはかっての他覚的聴力検査が主目的であった時代から,多目的の時代へとその応用範囲は飛躍的に拡大され,ERA機器も時代の要求に合わせて進歩,発達してきている。
ERAという言葉自体も歴史的変遷をへており,まずERAとは何か,から説明する必要があるように思われる。ERAとは音により生体内に生じた電気的変化を誘導記録し,これを種々の目的の検査に用いることの総称と定義するのが妥当であろう。音により生じた電気的変化は末梢では内耳から,また中枢では聴覚路を構成する種々のレベルの中継核から,さらに大脳皮質聴領や連合野を起源とする反応として記録できる。これらの反応をすべて一括して聴性電気反応とよぶ。それぞれの反応は異なる性質をもち,その応用方法も反応により異なる。それらの臨床的応用はすべてERAとよばれている。
ERAは始めは他覚的聴力検査を主体としたElectric Response Audiometryの頭文字をとった略語であった。今日ではElectric Response Applicationの略語に変わってきている。
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